ブログどす
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いただきものヒャッハー
「風間仁」
一八に呼ばれ、仁はいやいや振り向いた。
内心では驚いてもいる。
一八にこうしてあらたまって呼ばれるとなんとなく、おもはゆいところがあった。
しぶしぶ、いやいや、そういう顔で仁は振り返る。
「何だ」
「嫁に行く」
仁は地獄を見た。
地獄と言っても、一八が実際見たようなもえさかる火山の灼熱地獄ではない。
ただ単に自分を子と認めない父親が、花嫁衣装に身を包んでいるというだけのことである。
花嫁衣装に。
五十を目前にした、立派な体躯の男が身体のラインもあらわなドレスにきっちりと身を包んでいる。
繊細なレースをふんだんに使ったしとやかなヴェールがフンと吐き出した一八の息に翻る。
筋肉のついた太い腿と硬い尻でタイトなつくりのスカートがみっちりとラインを窮屈にしていた。
むき出しの肩や腕にはアクセサリーのように傷跡が紅を添えている。
ああもしかしたらあの白スーツは予行練習みたいなものなのかな、
悪夢だ、
仁は悪夢を見ている、
「あくむだ」
仁がつぶやく。
一八がいらだったように立派なピンヒールで地面をにじった。
「おい、聞いているのか」
しかも相手は熊だった。
リアルベアーではないものの、中年無職の熊だった。
一八はじっと己のつま先を見下ろしている。
二月の寒さは別として、まるで感覚が無かった。
動かそうとするとこわばる。
見下ろしている。
こちこちと、そのつま先は死んで石のようになっている。
「なるほど」
ひどく潔い納得をした。
「……お前は死ぬんだ」
仁が冷たく言った。
一八は当然だと言わんばかりに頷く。
「だろうな」
「悪魔なんか、デビルなんか身に宿すからいけないんだ」
どうしてか酷く泣きそうに顔を伏せている。
一八はそれを、自分の身にやがて来るだろう未来をおびえているのだととった。
「怖いのか、それなら俺にそのデビルを寄こせ」
「嫌だ」
「馬鹿が」
強情っぱりめ、一八の口調はどちらかといえば明るいものだ。わかりきった仁の反応を楽しんでいるようだった。
「こんなになってまで、どうして力が欲しいんだ!」
仁が顔を上げる、隠しもしないで泣いている。
まさか本当に泣いているとは思わなかった一八は愉快そうに喉を反らした。その喉は横皺の刻みも薄い若々しい喉で、干からびて石になったつま先とはまるで違っている。
そこへはまだ死がたどり着いていない。
「どうしてだと?それが――それが三島、いや、俺だからだ」
「……馬鹿だ」
それしか言えないで、仁は沈黙する。
静かになった。
二人が黙った代わりに、氷の塊を水へ放り込んだ時のような、ぴん、ぴんと澄んだ音がする。
一八のつま先から脛にかけて、皹が走り始めている音だ。
「あ……」
「まあまあ、つまらなくもない人生だったな」
一八は壁に後頭部をつけて、天井を見上げた。
よく晴れた日だった、窓から真っ青な空が見えて、死ぬにはもってこいな日だった。
「貴様はそうしていつまでも怯えていろ、人のように」
「おい!なあ、嫌だ、い」
「黙れ」
低い声で一八は仁を制した。
「みっともないところを見せるな、もう、そこまで来ている」
既に一八は目を閉じている。
シャツの襟元から這い上がってきた皹が、滑らかだった首にまでたどり着く。
頬に一筋、皹が入った。
「貴様は……本当に、よく・似ている……」
ごとん、一八の左腕が抜け落ちた。その腕が泣きじゃくる仁の頬へ延ばされたという事は結局誰も知らないままに落ちた。
無理に喋ったせいで、一八の頬には皹が深くびしびしと音を立てて巡る。
既に爪先から風もないのに崩れて、身体を支える事も出来ない。
「………忌々しい事だ」
一八は笑んで、そして塵芥と消えた。
弟の引っ越しについて色々あって、ゲームすらまともにできていません。
なんにもする気がおきなくって、家で寝てばかりいます。
それか外で酒ばかり飲んでいます。
人間のくずのようだ。
たまにパソコンをつけたかと思えばジョニー様の動画を延々ループしています。うるわしいうるわしい。ジョニ子綺麗よー
萌え豚のようだ。
ご飯にしたってなんかろくなものを食べていない。
鍋、水、着火、そんな感じ。
豚のようだ。
よく作るのは魔女スープ。
道化のように鍋を使っただけで魔女っぽさが出せるわけでもないけど、ちょっと魔女っぽくとかそういうわけでもなく、
ただ肉を入れなくてもおいしい、むしろ入れない方がおいしいという不思議スープ。
鍋に水を入れて火にかける。
キャベツのざく切りを入れる。ガス代がもったいないのでなるべく小さくすると火の通りがいいよね。
細切り昆布を入れる。これがこつ。
コンソメドーンする。
あとエリンギ(ダメエリンギ、一袋どっさり入って二百円みたいなやつ)を細くさいて入れる。
舞茸を入れるの好きなんだけど、スープの色が黒くなるので止す。
ベーコン入れて、さらにホールトマト入れるとそれっぽくなる。
まあこれ肉入っちゃってるんですけどね。
いつも行く八百屋さんで、アボカド五つで二百円だと言われてヒャッハーする。
ベーコン炒める、エリンギ炒める、アボカドをわさび醤油であえる、
ごはんのせる。
見た目が駄目でも大丈夫、一人暮らしだから。どうせまぜちゃうから。
テレビで中華料理とか見るとやってみたくなるよね。
あんかけご飯とかやってみたくなるよね。
たしか豚バラと白菜のあんかけごはん。だしを添えて。キムチも添えた。
けっこうおいしかったのを覚えている。
豚肉にちゃんと下味をつけるのと、白菜を一回電子レンジでチンするのがこつだったはず。
キャベツとベーコンさえあればなんとかなる。
キャベツとベーコンとエリンギとのパスタ。
これ実は無茶苦茶量が多いのでデブ直列繋ぎです。
しかもカーペットに置いちゃう。男子大学生かっつーの。
ふとーるふとるよぼくーのかーらだー
弟ですが、
わたしの隣のアパートへ入居が決定しましたオワタ
一八様が猫だったらと思うとほんとに夜も眠れない。
黒猫でしょうか。
できれば雑種がいい。
尻尾も耳も立派、だけど雑種。
ふかふかした真っ黒い尻尾をピンと立てて(ちょっと曲っててもいい)のっしのっし歩く一八さん(猫)とか大好きです。
肉球も硬いんです。顔にも傷があって愛嬌はありません。
親から捨てられて小さな体で歌舞伎町を生き抜いてきた猫一八さん。
誰であろうと身体をなでさせはしません。誇り高い猫一八さん。
ある日傷を負って路上に転がっていたところ、近所に住む女子小学生の風間準が拾ってくれるわけです。
もちろん情けは受けぬと手を引っ掻いたり噛んだりするわけですが、準は一八さんをぎゅっと抱きしめて傷の手当をしてくれるんです。神社で。花園神社で。アパート住まいでしたので。
新しいおうちに引っ越したら、きっとあなたを飼ってあげるねって言って、一八さんも準を信じたのですが、
迎えに来る当日、準は交通事故で亡くなってしまいます。
そして一八さんは準を待ち続けて、とうとう猫又になってしまうのでした。
遥かな未来に準さんと同じ瞳をした仁という青年(田舎から出てきた文系大学生書店アルバイト勤務)と出会うのです。
っていうパロ読みたい。