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ちょっと男子ー練習ちゃんとやりなよー




ところで中学校の合唱コンクールですが、
きっと準さんはピアノとかひくでしょう。で、合唱曲は名づけられた葉あたりだといいですね。ほんとは大地さんしょうがいいんですが漢字変換出来ないんで。
モルダウでもいい。モルダウいいなー。
でも中学一年生ぐらいなのでなづけられた葉。
怪獣のバラードだとちょっと明るくなりすぎる。
フェニックスー↑↑は気乗りしない。
それでやっぱりコンクール近くなっても男子が練習しないんですよ。
練習に集まらないし、ふざけるし、真面目に歌わないし。
このままじゃコンクールになんか出られないと思った準は、男子のリーダーである一八を説得するんです。
一八は練習の邪魔をするでもなく、かといって練習するでもなく傍観の構え。
それを見た男子が調子づいている状況です。一八をどうにかしないことにはたぶん男子は練習しないと踏んだんでしょうね。
「三島君が言えば皆練習するわ」
「くだらん。合唱コンクールごとき俺には関係ない」
「くだらなくない。お願い、協力して」
普段からあまり喋る事のなかった女子の中心にいる準を、初めて一八はまじまじと見るかもしれません。
一八は学校なんかくだらないと思っていて、それを違うと反対する人間に興味がわきます。
「うるさい」
睨んでも準は逃げません。それがますます一八の興味をひきました。
「……」
一八をじっと見つめる準に、一八はたっぷり一分睨んでから頷きます。
「どうしてこだわる」
「……」
準は黙っています。
その目にかすかに涙が光っていました。

次の日真面目に練習をする一八の姿がありました。
勘違いするな、別に涙にほだされたわけではない。一八は口にはしませんでしたが準をじろりと睨みます。
それを一度は笑いかけるクラスメート。
しかし、睨まれるでもなくその態度に気おされて次第に皆練習に戻っていきます。
命令するでもなく、脅すでもなく。
一八は自らの行いだけで人を圧倒していきました。準はそんな一八を見てますますピアノ伴奏の練習に打ち込みます。
そして練習のし過ぎで指が痛くなってしまった準を一八はじろりと睨み、
「帰れ。今の貴様のピアノでは話にならん」
準は一瞬驚いたように目を瞠って、それから頷きます。
「三島君、やさしい」
「くだらん」
「合唱コンクールがんばりましょうね」
「フン、結果は見えている」
「三島君の声は、きれい」
「……」



そして二人のクラスは望むとおりの結果を手に入れるのでした。胸に大きな充実感と、それから何か言葉にできないものを抱える事になります。
それは時間をかけて育てればあたたかくやわらかいものになるでしょう。


しかし、合唱コンクールの終わりと共に、
準は転校してしまうのでした。

みたいな。
へあああん

へあああああん

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