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ショタズヤ様、俺だー!結婚してくれー!!





かずやが次から次へと葡萄を房からちぎっては口へと入れている。
視線はテレビに釘付けで、仁がたしなめても聞かない。三島家ではテレビを見ながらの食事はご法度だったらしく、こうしてながら見を出来るのが嬉しくて仕方がない様子だった。
意識の半分以上をテレビへ奪われているために、皮を剥く指先はおぼつかず幾度もテーブルへ紫の実をぼとりぼとりと落とし転がしている。
「あ、」
仁が鋭い声を上げた。とうとうかずやが白いシャツへ葡萄の実を落としたのである。
真っ白いシャツへ紫色のあざやかな染みが広がった。
「ん?」
何気なくかずやが葡萄を拾おうと自分のシャツへ触れる。
葡萄の汁がついていた指で触れたのだから当然、また紫が広がった。
「触ったら駄目だ」
「あ……」
仁に両手の手首をばんざいと捕まえられてようやくかずやは気付いた様子だった。
口の中にまだ一つ葡萄の実が入っているためにもごもごと頬を動かしている。
「もうテレビを消すぞ」
言いながら仁は、母に叱られた過去を懐かしく思い出した。
かずやは嫌だと首を振った。
と、かずやの指先から今も紫の汁が滴りそうなのが仁の目に入る。
またも白いシャツへ、
滴る、
「わっ」
仁はとっさにかずやの指先へ吸いついていた。
指先は、爪の間は、あざやかな紫に染まっている。
右手が済んだら、左手の指先へ。仁は同じように吸いついた。
まだ柔らかい指先。
小さな爪。
細い骨。
(あ……)
仁は手首を更に強く握った。引き寄せようとして、
プチン、
顔に何か小さなものが当たった。
はっと我に返る。
「じん!」
かずやは顔をしかめて仁を叱りつけた。テレビが見えないのだ。
顔に当たった葡萄の種は仁のシャツの裾のところに転がっている。
「あ……その、すまない」
反射的に仁はわびていた。
「ふん」
べっと舌を出して、かずやは仁の身体を押しのける。
テレビテレビテレビ。
そしてまた、かずやは葡萄へ手を伸ばす。

あざやかな紫の舌、
染みが広がる白いシャツ。
染まった指先。
そして、自分のシャツもまた染まっている。
紫に。

紫、
悪魔の色の罪悪感。

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