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今の今まで仁の腕をはね除けようともがいていた両足がびりりと痙攣を起こし、次の瞬間には仁の腰へ絡み付いて引き込もうと力を込める。
「……!?」
ひゅっと一八は息を飲んだ。
一八自身にも抗いがたい力がゆわゆわと身体を浸し、今も自分を組伏せた男の首へ腕を回してしがみつく。

「………浅ましい、」
一八の媚びるような仕草に一瞬の戸惑いを見せたものの、仁は心底軽蔑したというような、胸が痛くなるような笑いを浮かべて腰を無理矢理に押し進めた。
一八の口からは苦痛のうめき。歯をぎちぎちと食いしばっているのだが、喉の奥からは歓喜の叫びがつぎつぎと込み上げてきている。「あ」
もはや苦痛は無い。血で一八の股間は真っ赤に染まっている、激しい痛みにも、自分を犯す男の罵倒の言葉にも、鉄錆の臭いにも萎える事はない。

一八の身のうちにある悪魔が、戻ってきた半身を悦んでいるのだ、自分しか信じられない一八の、唯一拠り所にしている自分すらも一八を裏切った。

一八の指先が、仁の肩口に食い込みぎりぎりと肉を抉る。仁は眼を細めて嘲笑う。
猫のようにとるに足らない抵抗が、一八に許された全てだった。

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