「龍司のおじさん!」
「おにぃちゃんや、嬢ちゃん」
龍司は笑った。太い笑みだった。
「嬢ちゃんじゃないよ、遥」
「そうか、そんなら遥、お父ちゃん呼んできてくれんか」
「お父ちゃんじゃないよ、おじさん」
龍司は少し怪訝そうに首を傾げた。一応龍司も二人の事情をわかっている。
「なんや、あのオッサンお父ちゃんて呼ばせてないんか」
ずけずけと尋ねる龍司に、遥は微笑む。
「そうだよ、おじさん、おじさんでいいって」
「ほー、ケナゲなやっちゃ」
「ケナゲ?」
「……なあ、遥。俺んとこに嫁に来んか」
「いいよ、おじさん泣くかな」
「そらそーや、ぐちゃぐちゃに泣くやろ」
「ね」
二人は顔を見合わせて笑った。
[0回]
PR